夏場から、都合3回の入院(手術2回+透析訓練1回)の末、ようやく落ち着いてきました。
はてさて腎不全にならないに越したことは無いのですが、もしなった場合、その方は「透析って一体どうなっちゃうんだろう?」と不安になるものと思います。
そこで、腹膜透析の機械一式をここで紹介しときます。
なお、テルモ社製のシステムです。血液透析は自宅ではできない&やったことないので不明、また腹膜透析もバクスター社製などは使ったことないのでわかりません。
- システム全体像
- むきんエース(カテーテル=チューブを接続する機械)
- 廃液タンク
- サイクラー
- カセット
- 透析液
- ウェハー
- 実際につなげてみましょう
- 透析パックの出口のストッパーを折る
- 廃液タンクへの接続
- おわりに
- 11/14追記:透析液の保管場所(重要)
システム全体像
これが、システム一式です。
末期腎不全で腹膜透析適用となった場合、ラックを含めたシステム一式が貸し出されます。
テルモのかたが、自社のバンで組み上がった状態で運んできてくれますので、組み立ての手間とか運ぶ手間とか考える必要ありません。
むきんエース(カテーテル=チューブを接続する機械)
腹膜透析で一番重要なのが、この機械だと思います。
腹膜透析でお腹から出ているチューブのことをカテーテルと言いますが、普段はお腹についているだけです。
透析液パックとかつけていたら、生活するの大変ですからね。
なので、透析の時だけパックをつけて、普段は切り離す、という作業が必要になります。
テルモのシステムの場合、カテーテルのチューブを熱して切断+圧着して結合する、という作業を機械で行うことで、この接続&切断を行います。
高温で行うので、細菌が入りにくい・・・とはいえ、実際に見ると衝撃のアナログの世界です。
というか、腹膜透析導入の手術終わったら水槽で使うエアーチューブが腹の中から出ていて、あの瞬間の衝撃と悲しみといったら無かった。
なお「むきんエース」は、夜間に自動で透析を行う「APD」でも使いますし、日中も含めて手動で透析を行う「CAPD」でも使います。
廃液タンク
透析後の廃液を溜め込むタンクです。
サイレンサーが付いていますので、夜間透析でも廃液の音は気になりません。
というか、機械の音のほうがうるさい(普通は気にならないレベルだと思うが、やや神経質なもんで)。
サイクラー
テルモ社製の製品がこの名前なのかわかりませんが、バクスター社製などではこの名前で呼んでいるようなので、この名前で紹介しちゃいます。適当ですね。
サイクラーという名前の通り、一晩の透析のあいだ、何時間ごとに何リットル注液&廃液するかを管理し、そのとおりに制御してくれる機械です。
これに「カセット」をセットし、カセットに透析液&廃液タンク行きのカテーテル&お腹から出ているカテーテルをつなげてやると、勝手に注液&廃液を行ってくれるという代物です。
カセット
サイクラーのところでも書きましたが、透析液&廃液タンク&お腹のカテーテルをつなげる機器です。
左下に見えるミステリーサークルがパッコン(何となく分かれ)になっていて、サイクラーがここをプッシュすることでポンプとして動く仕組みですね。
チューブがたくさん出ていて面食らいそうですが、一週間もすれば慣れます。
透析液
ピンぼけかましてますが、これが透析液です。
このサイズで2、500リットル。夜間3サイクルで毎回1,500リットル出し入れする場合4,500リットル必要ですので、このパックが2つ必要です。
なお、パックは大部屋と小部屋に分かれていて、使用する直前につなげて中の液を混ぜます。(品質劣化を防ぐための措置だそうです)
ウェハー
むきんエースは熱でチューブを切断&結合しますが、その時に実際に熱せられてチューブを切る部分がこのウェハー(ブレード)です。
使い捨てで、一回ごとに交換。一晩で4~5枚は使用します。
カセット単位で装着する方式ですので、交換自体は1~2週に1回ぐらいです。
実際につなげてみましょう
これが、カセット側のカテーテルの末端部分です。
この先に、透析液のパックをつなげます。
こちらが、透析液のパック側の末端です。
何やらアダプターっぽいものがついていますが、容赦なく切り捨てます。
この2つを、むきんエースでくっつけます。
両方のカテーテルを熱で切断した後、片方を180度回してそれぞれ別のほうとくっつけます。
この結果、「カセット側のカテーテル+透析液パックのカテーテル」が直結された状態になります(写真左側)。
写真右側は双方の先っちょ同士がくっついたゴミになりますので、取って捨てます。
カセット側のカテーテルと透析液側のカテーテルをつなげた直後は、接続口が塞がったままになっています。この写真の真ん中のところです。
ここを指で押して、開いてやる必要があります。これを開通といいます。まんまですね。
透析パックの出口のストッパーを折る
透析液パックですが、カテーテルのつながった出口のところが塞がっています。写真のオレンジのプラスチックの部品のところです。
これが付いていると透析液がパックの外に出ませんので、指で折ってやる必要があります。
折ったところです。
廃液タンクへの接続
カセットから出ている、廃液タンク用のカテーテルを廃液タンクにつなげます。
透析後の廃液はここに溜まっていきますので、透析の度に廃液をいちいち捨てに行く手間はありません。
おわりに
夜間の腹膜透析(APD)では、毎日この一式の操作を行うことになります。
お腹のカテーテル(チューブ)をサイクラーに繋げたままになりますので、もしこの長さが充分あるのであればそのままトイレにも行けますが、足りない場合はその都度切断&結合を手作業で行うか、尿瓶を使うことになります。
「透析=腎不全になったらしょんべん出ないんじゃないの?」と思うかもしれませんが(俺は思ってた)、腹膜透析は腎機能を守る療法であるがゆえに、透析導入しても相変わらずおしっこ出ます。これは、地味に重要。
11/14追記:透析液の保管場所(重要)
1つ重要なことを忘れていました。
腹膜透析で使用する透析液、それからカセット(回路)ですが、医師の方針にもよりますが大体1回/月ごとに自宅に届きます。
1パック2500gの透析液の場合、1箱4パックですので10kgほど。1日2パック使用する場合、30日分だと15箱ですので150kgにもなります。
※今計ってっみたところ、透析液2500gは実際には2.7kgありました
これらを3段積みにした場合、だいたいたたみ一畳分のスペースを占有します。
このスペースが確保できない場合、当然ながら腹膜透析は導入できない・・・なので、これから腹膜透析の導入を検討されている方は、設置場所が確保できるか充分吟味してください。